2022.04.11

食べる

【料理温故知新】ナスは「へた」も食べられる⁉カラッカラに乾燥させるとウマいのだ!【サステナ昭和暮らし】

煮ても焼いてもウマいナス。わが家ではオールシーズン、毎日食卓に並ぶ野菜の筆頭です。でも、どんな食べ方をしても捨ててしまうのが「へた」。当然のごとく切り落とされてしまう部分ですが、ココを食べる調理法があると聞きました。それ、昭和な時代の無駄を出さない知恵なんですよ。令和の今なら、さしずめサステナブルですね。調理法は、旨味を凝縮させるあのワザです。さっそく試してみます。

「ナスの切り干し」に挑戦!でもムズい…失敗したかも⁉【サステな昭和暮らし】

「ナスのへたのいかし方」はこの雑誌から…



当メディア「あたらしい日日」の背景には、月刊『家の光』という家庭雑誌の存在があります。その歴史は古く、大正14年の創刊。この記事は古い月号の記事の中からピックアップしました。当時の読者が実際に行なっていたオリジナルの作り方を家庭雑誌『家の光』に投稿したものと思われます。

いかにナス好きのわたしといえど、へたの部分は食べられないだろうと思って捨ててしまっていましたが、この記事では「ごちそう」になると。
昭和の主婦はサステナブルが骨の髄まで染み込んでいるようです。

ともあれ、食べられる範囲が増えることは喜ばしいですし、干し野菜は作る過程からワクワク楽しいので、今回もノリノリで干しましょう!

そもそもナスのへたとは

とはいえ、ナスのへたって正確にはどこのことなのでしょう。
わたしの考えでは、ナスを何かのキャラクターにしたときの、帽子や髪の毛として表現されるあの部分だと思っていました。



しかし、調べてみるとあの部分はナスの「がく」! へたではなかったのです。
真のナスのへたは先端のみ!ちょうどナスと茎をつないでいる部分のみということになります。



とはいえ、記事には「四つ割りにして」と書いてありますので、素直にいつも切り落としている部分と考えて良いと思います。
ちなみに、ナスのへたにはプロテアーゼインヒビターという物質が含まれているらしいです。
これには抗炎症作用があり、たとえば黒くなるまで焼いて口内炎や歯痛部分につけると炎症が治るとか、すりつぶして塩を混ぜたものを歯磨き粉として使うと歯槽膿漏の予防になるとか言われているそうです。
もちろんナスの皮に含まれるナスニンというポリフェノールも含まれていて、動脈硬化やがんの予防などにも効果が期待できるとか。

へた、侮れぬ。

たかが「へた」と思っていましたが、意外にも本当に「ごちそう」としてのポテンシャルを秘めているようです。

さて、へたのアレコレも調べたところで、レッツ⭐︎干し野菜!

へたを集めて干す

毎日使うとはいえ、へただけをそれなりの量集めようと思ったら数日は必要でした。
今回集まってくれたへた達はこちら。



集めている間に若干水分が抜けて、「すでにちょっと干されてますけど?」なへたもいます。
これらを四つ割りにしましょう。



こんな感じ。
正確には、切られているほとんどの部分は、ナスの実と「髪の毛」として表現されがちな「がく」が占めています。
これらを糸に通して乾かす。
糸に通す、すなわちほぼ裁縫です。

縫い針を洗って刺して糸を通しました。
使った糸は、家にあった縫い糸。タコ糸を使うのかなと漠然と思っていたのですが、タコ糸をナスに通すための針が見つからず断念。

ただこの作業、縫い糸を使うことでお子様と一緒に楽しむレクリエーションとして使えると思います。
だって、ほら。



まるでナスのアクセサリーを作っているみたい。
人魚が貝殻のネックレスを作るなら、畑の妖精はナスのへたのネックレスを作っているに違いないです。

こんな感じに仕上がりました。



もう終わってしまいましたが、筆者の故郷・福岡県のある地域では、「さげもん」という吊るし飾りを雛祭りの時に飾る風習があります。
それによく似ています。くしくもナスのへたでノスタルジー感じちゃいました。

さぁ、野菜を干すことにも慣れてきたわが家のベランダで干しましょう!



ナスの切干の際、干し方が足りず水分が残ってしまい、そこからカビが生えてしまった苦い経験がありますので、今回はしっかり干そうと心に決めていたのですが…。



たった1日干しただけでこの乾きよう。干し野菜最短記録かもしれません。
しかし、もう二度と同じ過ちを繰り返さないために、私はここから6日間、さらに干しました。
そしてこうなったのです。



カラッカラ。
二日めはまだしっとりと柔らかさがありましたが、ここまで干すともうパリパリです。
こうなれば安心。とりあえず水分で悪くなることはないでしょう。

それでは、これらを料理していきます!
まずは干し野菜を調理する時の共通の過程、「水につける」から。



上の画像で伝わりにくいですが、あのカラッカラの固くなったナスから、水につけて柔らかくなります。それをこれからどう料理するかです。

煮豆に入れてみる

一番オーソドックスそうな「煮豆」に挑戦です。
豆と一緒に煮ます。



味がどれくらい染みるか、食感はどのようになるかが要チェックポイント。



こちらが完成した「ナスのへたの煮豆」。
食べてびっくり! 普通に食べると固いナスのへたが、一度乾燥させたことによって水分をしっかり吸い少し柔らかくなっています。
ナス自体の繊維感、歯応えは強くなっているのですが、それはむしろ食べ応え。
豆のほっくりした食感と好対照でおいしい!
噛むとジュワッとだしが出てきます。お弁当のちょっとしたスペースに入れるのにちょうど良さそうです。

佃煮にしてみる

もう半分は、「佃煮」に挑戦。
乾燥したナスは匂いや風味が結構強く出ますので、濃いめの味付けの方が個人的にはおすすめです。砂糖、しょうゆで甘辛〜く煮ます。



記事の中ではお茶漬けのおかずとありますが、普通にご飯のお供としてすごくおいしい!
どんどんご飯がいけます。
こちらもしっかりした食感なので、噛めば噛むほど味が出て、お酒のつまみとしても活躍しそうです。
ただし、ナスとしての味わいは少なめ。見た目にも、初見ではナスとは思わない人もいるかもしれません。

たくさん干したつもりが、結構量が少なかった

針で糸を通している時はたくさんあるからとウキウキしていたのですが、実際料理に使ってみるとやはり小さいので少ない印象でした。
ナスを料理に使うたびに出てくるへた。ある程度貯まったら干す、またある程度貯めて干すというのを繰り返し、干し上がった順に食べていくというのもいいと思います。
貯めている間にへたが腐らないよう、ジッパー付き保存袋などで密閉して、できるだけ鮮度を保って保存しましょう。

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