春真っ盛りの今は、種まきのベストタイミング。家庭菜園を始めるならまさに今! というわけなんですが…自宅に庭がある人は限られていますよね。そこで、今回はベランダでもできるプランター栽培のコツを、東京都あきる野市で種苗店を営む野村さんに教わりました。今回育てるのはルッコラ、ビーツ、コールラビなどの西洋野菜。今から収穫が待ち遠しい~。
【併せて読みたい記事】【種と苗の専門店に行ってみた!】栽培から料理レシピまで相談OK「種苗店」の魅力に迫る!初心者向けのプランター栽培について教えてくれるのは、東京都あきる野市にある種苗店、野村植産の野村辰也さん。
店には定番品種から西洋野菜まで、数多くの種がずら~り。
「3月から5月にかけては種まきの季節。野菜は畑じゃないと育たない、と思う方もいるかもしれませんが、プランターと土さえあれば、ベランダでも野菜を種から育てることができますよ!」(野村さん)
では、プランター栽培のおさえておきたい基本知識とコツを見ていきましょう!
まずはプランターと土を用意
野菜を育ててみたいと思ったら、プランターと土を準備しましょう。
「今はさまざまな種類の土が売られているので、必要に応じて購入してもらえばと思いますが、プランターと土があれば育ちます」(野村さん)
土は基本的に培養土でOK。プランターは水がたまらないよう、底に穴が開いているタイプを用意しましょう。
「水はけがよくなるように鉢底石や鉢底ネットなども、あれば使いましょう。どれもホームセンターや100円ショップで揃えられますよ」(野村さん)
野村さんおすすめの種。左からルッコラ(ローマ)、コールラビ(グランドデューク)、スティックフェンネル(スティッキオ)、ビーツ(ルナ)。種はまく時期に合わせて選びます。
「種苗店やホームセンターに行けば、育てやすい野菜を教えてくれます。育ててみたかった野菜があれば、チャレンジしてもいいですね」(野村さん)
おさえておきたい!種まきの基本種まきに必要なものプランター
培養土(プランターの大きさに合わせて)
種
鉢底石(なくても可)
※今回、プランターは11L容量のものを使用
種のまき方1.プランターに培養土を入れる。
「土は入れすぎに注意! 水やりの際に水があふれないようにウォータースペースを確保しましょう。土が目一杯入っているように見えるかもしれませんが、水やりすると土が沈むので大丈夫ですよ」(野村さん)
野村さんが指で示してくれたこの余白がウォータースペース。土はプランターの内側に刻まれているラインまで入れましょう。ラインが入っていないものはプランターの上から2~3cnほどが目安です。鉢底石がある場合は、まずは鉢底石をプランターの底が見えなくなるまで敷き詰めてから土を入れます。
2.種をまく。
このとき、小粒の種は「すじまき」、大粒の種は「点まき」というように、まき方を変えます。
種が入っている袋にもまき方が書いてあります。種は器にいれるとまきやすいですよ。まずは
すじまきのコツから。
「すじまきは、割り箸を何往復かさせて溝を作ったところに、パラパラとまいていきます。種をまいたら脇の土をやさしくつまむように、そっとかぶせましょう」(野村さん)
まいた種の位置がずれないようにやさしく土をかぶせます。小さい種は、半分に折った少し厚手の紙に入れてから溝へまくと、手にくっつかず楽にまけるのだそう。
「トントンやさしく弾くと、折り目に沿って種がきれいに並ぶので、まきやすくなります」(野村さん)続いて、
点まきのコツを教えてもらいました。
「点まきは、等間隔に指で穴をあけて種を2~3粒ずつまきます。まいたら上から土をかけて、やさしく押さえましょう。穴の深さはどの野菜も『種の大きさの3倍』。今回は間隔を7~8cmあけます」(野村さん)
3.水をたっぷりかける。
「土をかぶせたら、水やりはじょうろを使いましょう。水の勢いが強くならないように注意してくださいね。水は土がゆっくりと沈み込むくらいがちょうどいいです」(野村さん)
野村さんおすすめの種では、ルッコラ、スティックフェンネルは、すじまき。ビーツ、コールラビは、点まきが適しています。
苗の植え方についても知っておこう! 植える時期が遅くなっちゃった! 収穫時期までの期間を短くしたい! というときには、ある程度の大きさまで育った苗から育てると早く収穫できます。
野村さんに西洋野菜の一種、カリーノケールの苗を例に、植え方のコツを教えてもらいました。
11Lのプランターに苗は2つがベスト。1つの苗に対して30㎝ほどのスペースを用意し、間隔を空けて植えます。
「苗の大きさに合わせて穴を掘ります。苗の表面がプランターの土と同じ高さになるくらいがいいですね」(野村さん)
苗の根元を抑えてひっくり返せば、ポットから苗をきれいに取りだすことができます。
土をかぶせたら、最後は根元をやさしくギュッと押さえるのがコツ。
種まきと同じように水をたっぷりとあげましょう。
「種も苗も、植えたら日当たりと風通しのいい場所に置いてください。水はけが気になる場合は、ブロックの上にプランターを乗せて底上げするとよくなりますよ」(野村さん)
余った土の保管ってどうしたらいい?買ってきた土を使い切れず、残ってしまうことってありますよね。そんなときにはどのように対応するのが正解なのでしょうか。
「土の使用期限はありません。余ったら透明なビニール袋にいれてしっかり密閉しましょう。日が当たるところに置いておくと、太陽熱のおかげで苔やカビが生えにくいですよ。一度使った土も、広げて日に当てておけば肥料を足して再利用できます」(野村さん)
今回教わったやり方は園芸の基本。覚えておけば畑などで野菜を育てる際にも役立ちます。
まずは育てやすい野菜から、限られたスペースでもできるベランダ菜園を楽しんでみてください!
野村植産㈱
野村辰也さん
東京都あきる野市、JR秋川駅から徒歩10分の住宅街にある種苗店。バラエティに富んだ品揃え、きめ細やかな対応から、家庭菜園を楽しむ地域住民や農家からの信頼は厚い。西洋野菜を育てたことをきっかけにその魅力に気付き、2018年「東京西洋野菜研究会」を発足。マルシェやワークショップなど、西洋野菜の魅力を広く伝える取り組みを続けている。出前授業や栽培指導などを通して、地域の保育園や小学校の食育サポートにも注力。広い世代に向けて「土に触れ、食べるよろこび」を発信している。
野村植産ホームページは
https://nomuraseed.mystrikingly.com/
東京西洋野菜研究会ホームページは
https://tokyovege.mystrikingly.com/