2021.11.01

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【農業経験ゼロで就農!】シャインマスカット農家に嫁いで始めた農業は、自然に癒されストレス知らず♪ 気になる嫁姑問題も!?【農業女子インタビュー】

山梨県甲州市のシャインマスカット農家に嫁いだ辻明美さん。農業の経験はありませんでしたが、義母の洋子さんが生き生きと農作業に励む姿を見て「わたしもやってみたい」と自ら就農したのだとか。実際に農業に携わってみての感想や、嫁・姑としての本音は? 二人に話を聞きました。


辻さんの育てるシャインマスカット。その美しさに惚れ惚れします。 写真提供:辻明美

農業を始めて人間関係のストレスから解放された

結婚前に、いくつかの仕事を経験してきた明美さん。

時には人間関係にしんどさを感じ、精神的に余裕をなくしたこともあったといいます。そんな折、たまたま嫁いだ先が農家でした。

明美さんの夫はサラリーマン。義母の洋子さんが一人でシャインマスカット畑を切り盛りしていたのです。



写真提供:辻明美

「嫁いだ当初、お義母さんは『農業はわたしが好きでやっていることだから。継がないといけないなんて義務感を感じずに、やりたいことをやってね』と言っていて。夫も特に農業を継ぐことについては考えておらず、わたしも農業をやるとは思っていなかったんです。でも楽しそうに農作業しているお義母さんを見ていたらやりたくなってきて。『わたしもやってみたい!』とお義母さんに相談して、今に至ります」(明美さん)

それまで農業の経験は一切なかった明美さん。農業を始めてみたら、大変さよりも楽しいことばかりだったそうです。

「作業はずっと上を向いて、手をあげたままなので、慣れるまであちこち凝ったりして大変でしたが、勤めていたときのような人間関係のストレスからは解放されました。自然にも癒されますし」と、明美さんはにこやかに語ります。


知らないことばかりだから楽しい!

土づくりに始まり、房の数の調整、実のつき方の調整、種が入らないようにする処理など、シャインマスカットを育てあげて出荷するまでには、数多くの工程があります。

「ひとつひとつ学んで知識を得ることが、わたしにとってはすごく新鮮でした。植物は生長していくので、時期を逃したらアウトな作業も多く大変です。でも、手をかければちゃんと応えてくれるのが嬉しくて」(明美さん)


シャインマスカットに保護カバーをつけるのも一房ずつ、丁重に。 写真提供:辻明美

育てるシャインマスカットの数は何千とあり、そのすべてに手作業で作業を行う日々。

「種なしのぶどうは、ぶどう1房1房に処理を行うことで初めて種なしぶどうになるのですが、そのすべてが手作業。『え~!種なしぶどうってこんなに手間がかかっているんだ』とびっくりしました」(明美さん)

お互いを尊重し合えるからこそ続けられる!

心底、シャインマスカット作りが楽しくてしかたないという明美さん。姑の洋子さんとの関係はどうなのでしょうか。

「よく嫁・姑バトルなんて言いますけど、お義母さんとわたしは、姉妹、時には友人みたいな関係。お義母さんは、強制しない人なんです。農業も“やりたい”と言い出したのはわたしのほう。口出しせずに見守ってくれるし、お義母さん自身すごくポジティブだし、いい影響しか受けてません」


洋子さんは農作業のやり方も、こうしなさいと強制することがないそう。 写真提供:辻明美

そう語る明美さんの横で「明美ちゃんが手伝ってくれると言ってくれたことが、本当にありがたくて」と、洋子さん。

お互いを尊重する姿勢が、いい関係を保つ秘訣なのかもしれません。

育てる喜びは何にも勝るやりがい

洋子さんの畑は、亡くなった夫の後を継いだもの。実は洋子さんも農業経験ゼロからのスタートでした。

「夫がいなくなって、この畑を守ることがわたしの使命だと思いました。それまで事務職をしていて何も知らないわたしでしたが、やろうと思えば何でもできるという信念で、ひとつひとつ仲間の農家に教わりながらここまできたんです」と、洋子さん。


写真提供:辻明美

繁忙期は朝5時から畑に出向き、休日も取れないほどですが、そんな日々も「育てる喜びが勝るから、まったく苦にはなりません」と、きっぱり。


「早起きをして畑に出ると、光がさし、夜から朝に変わる瞬間の光景を目の当たりにできます。その美しさは、言葉にできないくらいですし、このときいつも夫がそばにいてくれることを感じるんです」(洋子さん)

動いてみれば必ず新しい道が開けていく

人にはそれぞれの価値観があるから、自分の考えを押しつけないことを心がけていると語る洋子さん。そんな洋子さんといい関係を築き「時にはグチも聞いてもらっているんです」と笑う明美さん。


収穫後も出荷作業が続きます。 写真提供:辻明美

お話を聞いていたら「洋子さんは洋子さんなりに、明美さんは明美さんなりに動いてきたことで二人が出会い、シャインマスカットというパズルのピースにぴたっとはまったんだな」と思えてきました。

動いた先に、どんな結果が待っているかは誰にもわかりません。でも、洋子さんも明美さんも口をそろえて言います。

「もし農業がやってみたかったら、身近なところからぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。思うようにいかないこともあるかもしれませんが、必ず次の道につながっていきますから」


辻明美さん・洋子さん

山梨県甲州市のシャインマスカット農家。夫の亡きあと、農園を継いだ洋子さんとお嫁さんの明美さんで、約220㎡の畑を切り盛りしている。楽しそう、と思ってやってみたら本当に楽しかった!と生き生き働く明美さん、一緒に農業をしてくれることに感謝していると語る洋子さん、姉妹のように仲の良いふたりが手掛けるシャインマスカットは愛情たっぷりのおいしさ。辻さんのシャインマスカットはJAフルーツ山梨を通して全国へ出荷されています。JAフルーツ山梨についてはインスタグラムもチェック!

写真提供/辻明美さん・洋子さん 取材協力/JAフルーツ山梨

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