わたしの夫のおばあちゃんは、鹿児島で畑を耕しながら田舎暮らしをしています。おばあちゃんの料理は、食べると懐かしさがこみ上げる、滋味あふれる味。なかでも自家製のさつまいもで作る、つきたてのお餅「からいもんべった」が絶品なんです! おばあちゃんの味の秘密をひも解くべく、一緒にお餅づくりをしてきましたよ。師匠、お手柔らかに♪
【農家発!】道産子熱愛の「いももち」は、つなぎナシが本来のレシピ!?開拓当時の素朴な味を【完全再現】おばあちゃんの冬の手仕事「からいもんべった」わたしの夫の祖母が暮らすのは、鹿児島県の山間の集落。
生まれてから86歳の今まで、この地に根を張るように生きてきました。
その暮らしには、地域に受け継がれてきた昔ながらの手仕事が、当たり前のように息づいています。
畑の手入れをするおばあちゃん。現役農家は引退しましたが、家の裏の畑で野菜や果物を育てています。冬は、秋に収穫したさつまいもが、甘味を増しておいしくなる季節です。
毎年この時季に、わたしが楽しみにしているのが、おばあちゃんお手製の「からいもんべった」。
さつまいもがたっぷり入ったお餅です。
「昔からお正月用の餅をつくときには、からいもんべったも一緒に作るの」と、おばあちゃん。
鹿児島では、さつまいものことを「中国大陸からやってきた芋」という意味で、「唐いも(からいも)」というそう。
「べった」の意味は定かではありませんが、おばあちゃんに聞くと、「べたっとしてるからじゃないの?」とのこと。
「このあたりは昔、とても貧しくてね、米もとれなかったんだよ。だけど、唐いもだけは豊富にあったの」と、おばあちゃん。
「わたしが若かった頃は、9月に芋を収穫したら、紐でくくって束にして、軒下や家の中の梁に吊るしていたの。そうしておくと、芋が甘くなるんだよ。当時は砂糖なんて手に入らなかったけど、そうやっておいしく食べていたの」(おばあちゃん)
吊り下げた芋のことを「ついさげも」と呼ぶそうで、秋から冬にかけては、家の中はそこらじゅう、「ついさげも」でいっぱいだったとか。
「唐いもは2週間もしたら、味がのってくるよ」と、おばあちゃん。
今では、さつまいもを吊り下げることはしませんが、直射日光の当たらない場所に広げて置いておくのだそう。
![](https://images.nichinichi-magazine.com/articles/3000/3980/wysiwyg/42a13cb895fd0a7278d8e9b734603545.jpg)
「からいもんべった」も、甘味をじっくり増したさつまいもで作ると、格別。
それでは、おばあちゃんの冬仕事、いっしょに体験していきますよ~♪
「からいもんべった」の材料と作り方
材料(作りやすい分量)もち米…1kg
さつまいも(皮つき)…1.5kg(正味1.1kg)
ざらめ…480g
塩…小さじ2
きな粉…適量
作り方1.もち米は洗い、一晩水に浸してから、ざるに上げます。
![](https://images.nichinichi-magazine.com/articles/3000/3980/wysiwyg/a7fddd7364642c2983aca0927f67bb03.jpg)
2.さつまいもは皮を剝き、適当な大きさに切り分け、水にさらします。
![](https://images.nichinichi-magazine.com/articles/3000/3980/wysiwyg/5baea0a343491cc2c96268cd25fdc46d.jpg)
包丁の刃をいもに半分くらい入れたら、刃を横に倒すようにしていもを割ります。
「包丁でスパッと切るんじゃなくて、こんな風にすると、断面がゴツゴツになるでしょ。こうして水にさらすとアクが抜けやすいって、昔から言われているの」と、おばあちゃん。
さっと水にさらして洗ったら、ざるに上げます。
3.さつまいもを蒸し器で蒸します。
蒸し器の下段にお湯を5~7分目まで注ぎ、上段に絞ったふきんを敷き、その上にさつまいもを並べます。
![](https://images.nichinichi-magazine.com/articles/3000/3980/wysiwyg/b1fa74040db5f06b6a6d7c140fb808e5.jpg)
ふたをして、強火で20分程度、芋が柔らかくなるまで蒸します。
4.餅つき機で餅をつきます。
まず、もち米を餅つき機に入れ、ふつうに蒸します。
![](https://images.nichinichi-magazine.com/articles/3000/3980/wysiwyg/4f1b860634ae150e058cf6c5accad763.jpg)
蒸し上がりました。
![](https://images.nichinichi-magazine.com/articles/3000/3980/wysiwyg/957f126d2409e954874306568bdbef56.jpg)
次に、つきます。
![](https://images.nichinichi-magazine.com/articles/3000/3980/wysiwyg/8f310e08a09119d5d418ea477242e1a7.jpg)
餅がつき上がったら、蒸したさつまいも、ざらめ、塩を加え、さらに30分くらいつきます。
「昔はさつまいもをもっとたくさん入れていたんだけど、わたしは、このくらいの割合(もち米1:さつまいも1.1)が一番好き。さつまいもが多すぎても、少なすぎても、うまくいかないの」と、おばあちゃん。
![](https://images.nichinichi-magazine.com/articles/3000/3980/wysiwyg/9d61ddbd18f268fd94b20abbd9444de4.jpg)
餅がなめらかになったら、きな粉を広げたトレイなどに取り出します。
![](https://images.nichinichi-magazine.com/articles/3000/3980/wysiwyg/db63dac044a897f75168b9edc497df62.jpg)
![](https://images.nichinichi-magazine.com/articles/3000/3980/wysiwyg/c8db4f59c334f3c170c08cccf5b712b8.jpg)
上からも、きな粉をたっぷりふりかけます。
![](https://images.nichinichi-magazine.com/articles/3000/3980/wysiwyg/911fa85d496b7100bc253d40d7e7f674.jpg)
このまま冷めるまで置いておき、切り分けて食べます。
これで、出来上がり!![](https://images.nichinichi-magazine.com/articles/3000/3980/wysiwyg/479080aba314516fd8672ae4244ece58.jpg)
わぁ~、おいしそう!
さて、今年のからいもんべったのお味は…?
![](https://images.nichinichi-magazine.com/articles/3000/3980/wysiwyg/a4f02cc2c7beb9b042efaea83bf1d9ea.jpg)
う~ん、やっぱりおいしい!
もっちもちのお餅をかみしめると、さつまいもの甘味が、ふわりと口に広がります。
きな粉の風味とも相性抜群。
6歳の娘も、「このお餅だ~い好き」と言って、手が止まりません。
やさしい味わいだからでしょうか。
パクパク食べられるので、わたしもつい食べすぎちゃいました。
実は「からいもんべった」は、切り餅を使って、電子レンジで簡単に作ることもできるんです。
その方法は、別の記事で紹介しますね!
鹿児島のおばあちゃんの味、ぜひ楽しんでみてください!