2021.11.15

食べる

【サステな昭和暮らし】“節”も無駄なく使い切る!体を温める「レンコン湯」のススメ【戦前の懐レシピ】

突然ですが、当メディア「あたらしい日日」の背景には、月刊『家の光』という家庭雑誌の存在があります。その歴史は古く、大正14年の創刊。古い雑誌を眺めていると、面白い記事に出くわすことが多々あるんです。そこで、料理だったり家事だったり、古い記事のなかから興味深いものをピックアップ!そのアイデアを再現してみようと思います。当時の制作者の思いは違うはずですが、あらためて今見返すと“サステナブルな思想”に通じるものがたくさんありました…。


記事の内容は…



 実は今回、編集部からちょっと変わった依頼がありました。戦前~戦後あたりに発行された家庭雑誌・月刊『家の光』に掲載の、料理レシピを「再現してください!」というもの。レシピに添えられた当時のイラストも一緒に送られてきました。和装の女性が正座して、湯呑みで何か飲んでいます。
いやぁ、これ絶対戦前のレシピでしょ。

レシピは非常に簡潔というか、大ざっぱというか(笑)。

下の画像が、当時使われたイラストです。何とも古めかしいですね。



皮をむいたレンコンをすりおろし熱湯で溶いたものに、砂糖とミカンの汁を加えたシンプルな飲み物です。

レンコンには体を冷やしにくく、血行を促進し、血液や筋肉を作る助けとなるような栄養があるそうです。
暖房器具が発達しておらず、食べ物が豊富でなかった時代だからこそ、先人の知恵で生まれた料理ではないでしょうか?

レンコンというと、味のクセはあまりありませんが、調理法によって食感が変化するというイメージの野菜です。

薄切りにしたパリパリのきんぴらや、サイコロ状に切ったホクホクの煮物などはよく食べますが、すりおろしたレンコンをそのまま口にしたことはありませんでした。

どんな飲み物になるか未知数のまま。
ではさっそく作ってみましょう♪

体の温まる「レンコン湯」を再現してみました!

今回用意した材料と作り方は以下の通りです。



材料(1人前)
レンコン…30g(すりおろし小さじ1くらい)
みかん…1個
砂糖…小さじ1
水…200ml

作り方
1.
耐熱カップの上ですりおろし器でレンコンをすりおろす。





2.水を加えてレンジで2分(500W)で加熱する。



3.
温まったに半分に切ったみかんを絞り、果肉と果汁を加える。



4.
砂糖を加えて混ぜて完成。




見た目はみかんのおかげで、さっぱりとした柑橘系のドリンクのようです。
レンコンが入っているとは全くわかりません。

さて、お味の方はと言うと…。

何とも素朴な感じですね(笑)。
上記の材料だと甘さは控えめなので、もう少し砂糖を増やすと飲みやすくなるかもしれません。
ちなみに、レンコンの味は全く感じませんが(笑)、すりおろしたレンコンのシャリシャリ感はとても良いアクセントになっています!

やはり時代が古いためおいしさやオシャレより、保温や風邪予防などの機能性を重視しているのでしょうか?

でも飲み進めるうちに、体の奥の方がポカポカしてくるのを感じました。

総じて「健康重視で味は二の次…?」というのが感想。

令和風「リンゴ×しょうが×レンコン湯」にアレンジしてみました!

記事通りの作り方だと、予想よりは飲みやすかったものの「おいしくて毎日でも飲みたい!」というのは少し違うかもしれません。

わたしが感じたのは「甘さが足りない」「すりおろしたレンコンのシャリシャリ感がマッチしていない」という2点。

この2つを解決するためにわたしが考案したのがリンゴジュースの投入です。
リンゴジュースの味わいは、リンゴと同じような(すりおろしたレンコンの)シャリシャリ食感と、違和感がないだろうと考えたからです。

さらに、リンゴジュースのみだとちょっと甘すぎるので、しょうがを加えて全体を引き締めることで、大人の味を目指しました。

実は、今回レンコン湯を作るにあたり、そもそもレンコン湯のレシピって今もあるのかなと思い検索してみました。するといくつかレシピが見つかり、そのなかに「レンコンの擦りおろしに少量のしょうがを加える」とあったんです。風邪を引きそうなときや咳が出るときによい、というコメントもありました。

それもあって、しょうがを加えてみることにしたんですよ。相性は悪くないんだろうな~って。

しょうがも同じ効能があるとよく聞くので、相乗効果もありそうですね♪



材料(1人前)
レンコン…30g(すりおろし小さじ1くらい)
リンゴジュース…200ml
しょうが(チューブタイプ)…1cm分くらい

作り方
1.
耐熱カップの上ですりおろし器でレンコンをすりおろす。
2.
リンゴジュースとしょうがを加えて、レンジで2分(500W)で加熱する。



3.レンコンやしょうがが全体に散らばるようにかき混ぜて完成。



見たところは、何かツブツブのものが入ったドリンクという感じで、元レシピと同じようです。

しかし、リンゴジュースを使ったのは正解!

課題だった「甘みを足す」と「シャリシャリ感を活かす」を同時に解決できました!!
少量加えたしょうがも、全体の味をキリッとまとめる重要な役割を果たしてくれています。

もちろん、すりおろしたレンコンは食感だけではなく、しっかり身体を温めてくれるといううれしい働きも残したままでした。

昭和の“もったいない”精神は、現代のサステナブルな暮らし方につながるんですね

レシピ(記事)の最後に、「工夫一つで捨てるものがこのように役立ちます」とあります。

この頃って、食べ物に対して「好き嫌いをなくす」「無駄を出さない」「もったいない」という精神というか、考え方があったと思います。今回のレシピのような、野菜の端の部分も立派に使い切って、すべて食べ切るというのは、現代のサステナブルな考え方ととても親和性がありますよね。

でも今はアレルギーの問題もあるので、デリケートな対応が必要なこともあります。「残さず食べる」「もったいない」は、食べ手の問題である一方で、作り手側の「無駄を出さない」量の調整ということも大切なのかもしれません。そんなことを考える機会になりました。

そうそう、それと。レンコン湯を飲んだときの体のポカポカ感に驚きだったので、例えば暖房の温度を上げる前にコレを飲んで、ちょっとでも環境に優しい生活も心掛けたいなと思ったりもしました。

みなさんもぜひ、寒い日に「レンコン湯」を作ってみてくださいね。

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