出典:PHOTO AC

2021.11.05

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薬局で【新型コロナウイルス抗原検査キット】が販売スタート!正しい使い方と注意点 【現役看護師が解説】

看護師のmocaです。新型コロナウイルスの第5派が落ち着き、制限の解除も進んでいますね。実は最近、厚労省の認可を受けた医療用の抗原検査キットが薬局でも買えるようになったのをご存じですか。これからは、コロナ感染の疑いがあればセルフチェックができるんです!でも、正しい使い方や、使うときの注意点も気になるところ。というわけで、現役看護師の筆者が解説します。


抗原検査キットの内容や使い方や注意点って?

1. 抗原検査キットには『医療用』と『研究用』がある、その違いは?
2. 抗原検査とPCR検査の違いについて
3. 実際どう使うの?
4. 判定後の正しい対応について
5. 抗原検査での陰性確認は想定段階

1. 抗原検査キットには『医療用』と『研究用』がある!どちらを買うべき?

実はこれまでも『研究用』の抗原検査キットは一般に販売されていました。ですが、精度については不確かで未承認のものだったんです。今回、薬局で購入可能になった製品は『医療用』の抗原検査キットで、厚生労働省に精度や品質を認められたものです。安心して使えますね。ちなみに消費者庁は、パッケージに『研究用』と記載されたものを購入しないように呼びかけています。医療用のものには『体外診断用医薬品』と明記されています。購入するときはよく確認をしてください。


出典:消費者庁HP

なお、購入の際は薬剤師から検体採取方法や留意点について説明を受け、きちんと理解したかを確認するために書類に署名する必要があります。薬剤師が常駐している調剤薬局で購入できますが、調剤薬局がないドラックストアやインターネットでの購入はできません。医療用抗原検査キットの価格は1回分で2,000円ほどです。

2. 抗原検査とPCR検査の違いについて

新型コロナウイルスの感染の有無を判定する手段として、PCR検査と抗原検査が実施されています。
大切なのはどちらの検査も本来は、感染が疑われる人に対して体内のウイルスの有無を調べるもので、ウイルスの量が少ないと陰性となることがあります(これを偽陰性といいます)。そのため、陰性確認として、つまり感染していないことを証明するために用いるものではないということです。

両者を比較すると、PCR検査の方が精度が優れており、より少ないウイルス量でも検出することができます。ですので、発症前や無症状の段階でも感染の有無をある程度調べることがきます。デメリットとして、判定は検査機関でしか実施できないため結果が分かるまで数時間以上かかり、郵送の場合は数日を要します。

抗原検査は定性検査と定量検査があり、定量検査は定性検査よりも感度が高いです。今回市販されるようになったのは定性検査です。抗原定性検査は別名、抗原迅速診断キットとも言われます。最大のメリットは15分~30分と短時間で結果が判定できるという点です。
デメリットは精度がPCR検査や抗原定量検査に比べて劣るという点です。発症後でないと感度が低く、体内にある程度ウイルス量がないと正しく判定されないことが多いとされています。


出典:厚生労働省HP

3. 抗原検査キットは実際どう使うの?


出典:富士フィルムHP
(画像はセット数が今回市販で発売されたものとは違いますが、内容は同じものです。)

抗原検査キットでセルフチェックするときは、事前に注意点や使い方をよく勉強してから実施しましょう。
一般的な検査手順と留意点については厚生労働省のホームページに公開されています。こちらをクリックして確認してくださいね。

また、各製品の添付文書や各メーカーが提供している動画資料などでも必ず確認と理解をした上で実施してください。

【検体採取の方法】
①綿棒を鼻から2cm挿入する。
②鼻の内側を沿うように5回転させ、5秒ほど静置する。
③綿棒が十分湿っていることを確認する。

Meiji Seikaファルマ製薬抗原検査キットのマニュアル


出典:Meiji Seika ファルマ株式会社HP

感染拡大のリスクを考慮し、同居者等がいる場合は離れたとこで行いましょう。鼻の奥から検体を取る検査なので、小さいお子さんなどの場合を除いて、なるべく自分で採取するようにしましょう。

お子さんの採取を行う際は、綿棒が2cm入らなければ入るところまでで大丈夫です。危険なので、頭をしっかりと固定した状態で行いましょう。

検体が採取できたら綿棒を液体の入ったチューブに浸し、検体を抽出します。綿棒は破棄し、チューブにキャップを装着し、専用キットに検体の液を滴下して15分~30分待てば判定することができます。
詳しい方法は各メーカーの添付文書や動画資料を必ず確認してください。

キットに表示される結果が明瞭でなく判断が難しい場合は、“陽性であった場合と同様に”対応する必要があります。

4. 抗原検査の結果が出たときの正しい対応について

『あさイチ』のなかで感染症対策や検査に詳しい東海大学医学部教授の宮地勇人さんは、「コロナ感染を疑う症状があるにも関わらず夜間や休日などで医療機関の検査を受けるのが難しい場合、検査キットの使用は有効ではないかと思われる。陽性反応が出た場合、接点のあった人たちに連絡して早期に対応を始められ、その上で速やかに病院などに問い合わせて医師の診断を仰ぐように」と述べています。

抗原検査で陰性判定でも、本当は陽性なのに陰性と判断されてしまう偽陰性となる可能性はPCR検査に比べて高いです。
陰性と判定されても、症状がある場合は感染を疑って医療機関を受診すること、症状がない場合も引き続き感染対策を続けていくことが大切です。

結果等を踏まえて受診する際は、まずはかかりつけ医などに電話で受診方法を相談してください。自己検査で陽性が出ていたり、陽性が疑われたりする場合は、連絡なしに直接病院へは行かないようにしましょう。

かかりつけ医がいないなど迷った場合は「受診・相談センター」(地域により名称が異なることがあります)に相談してください。
各都道府県の相談・医療に関する情報や受診・相談センターの連絡先がまとめられています。こちらをクリックして確認してくださいね。

5. 抗原検査での陰性確認の活用については想定段階

繰り返しますが、PCR検査も抗原検査も本来、陰性確認をするためのものではありません。

抗原検査の陰性確認について、『あさイチ』では24時間以内の結果が有効として具体的な活用法に触れられていましたが、抗原検査の陰性確認の活用は現在はまだ想定段階です。内閣官房HPによるとPCR検査は72時間以内の結果が有効とされる見通しです。

『あさイチ』のなかで専門家の宮地さんは、「抗原検査よりも精度の高いPCR検査をおすすめするが、抗原検査を陰性確認に用いるならばこまめに繰り返し検査する必要がある。コストや手間がかかるが24時間ごとに検査をするのが理想的。例えば、1泊2日の帰省に利用するなら、出発前日・宿泊当日・帰宅直後に検査するのが望ましく、旅行などを伴わない場合は3日に1回の頻度の検査が望ましい。精度の劣る抗原検査でも、頻度を高めることで有効性が高められる」と述べています。

今後、旅行や大勢の人が集まるイベントなど、社会・経済活動が正常化していく際に、ワクチン接種の完了と抗原検査での陰性確認の活用がさらに検討されていきそうですね。

抗原検査はPCR検査に比べて精度は劣りますが、医療機関に行かなくても自宅などで短時間で判定できるというメリットがあります。
体調不良等の症状を感じてから薬局に購入しに行くことは、感染予防のために避けるべきと厚生労働省は呼びかけています。体調が悪くなる前にキットを常備しておくことが大切ですね。

活用にあたっては、陰性がでた場合でも偽陰性の場合もあるということを念頭におき、症状がない場合でも引き続きマスクの着用、手指消毒、3密回避などの基本的な感染対策を続けていきましょう。

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